
製造業務専門派遣先責任者とは?選任基準や役割・派遣先責任者との違いを解説
労働者派遣法では、派遣スタッフを受け入れる企業に対して「派遣先責任者」の選任が義務付けられています。また、製造業務で一定人数を超える派遣スタッフを受け入れる場合には、「製造業務専門派遣先責任者」を選任する必要があります。
本記事では、製造業務専門派遣先責任者の基本的な位置づけから、通常の派遣先責任者との違い、選任が必要になる基準、主な役割までわかりやすく解説します。配置する際の注意点も紹介するので、製造業務で派遣スタッフを受け入れる企業様はぜひ参考にしてください。
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製造業務専門派遣先責任者とは?

製造業務専門派遣先責任者とは、一定人数を超える派遣労働者を製造業務に受け入れる場合に、通常の派遣先責任者とは別に選任する責任者です。製造業務に従事する派遣労働者の管理を専門に担う立場として設けられています。
製造業務で専門の責任者が別枠で求められるのは、製造現場特有の労働災害リスクに対応するためです。
なお、似た名称に「製造業務専門派遣元責任者」がありますが、これは派遣スタッフを送り出す側(派遣元=派遣会社)に選任が義務付けられている責任者です。派遣元・派遣先の双方に、製造業務に対応した専門の責任者を置く仕組みになっている点を押さえておきましょう。
製造業務専門派遣先責任者と派遣先責任者の違い
派遣先責任者は、受け入れる派遣労働者全体の適正な就業を確保するために選任される役職です。労働者派遣法や契約内容の周知、派遣先管理台帳の作成、苦情対応など、幅広い職務を担います。
これに対し、製造業務専門派遣先責任者は、その中でも製造業務に従事する派遣労働者に特化して、同様の職務を担当する立場です。両者の基本的な職務内容そのものに大きな違いはなく、担当する派遣労働者の業務範囲が異なります。
製造業務で50人を超える派遣労働者を受け入れる場合は、派遣先責任者の中から「製造業務専門派遣先責任者」を選任する必要があります。
ただし、一定の条件のもとでは、製造業務専門派遣先責任者のうち1名が、通常の派遣先責任者を兼任できる点も理解しておきましょう。
製造業務専門派遣先責任者の選任が必要になる基準

製造業務専門派遣先責任者の選任義務は、すべての企業に一律で発生するわけではありません。
一般的に、製造業務に従事する派遣労働者が50人を超える事業所では、製造業務専門派遣先責任者の選任が必要です。製造業務に従事する派遣労働者が51~100人の場合は1人以上、101~200人の場合は2人以上とし、以降100人増えるごとに1人以上を追加で選任します。
製造業務に従事する派遣労働者が基準人数以下の事業所では、通常の派遣先責任者が、製造業務に従事する派遣労働者も含めて担当することが認められています。
製造業務専門派遣先責任者の主な役割

製造業務専門派遣先責任者は、製造業務に従事する派遣労働者の適正な就業を確保するために、複数の職務を担います。ここでは代表的な4つの役割を紹介します。
なお、製造業務専門派遣先責任者は、以下の要件を満たす者を選任するように努めるべきとされています。
労働関係法令に関する知識を有する者
人事・労務管理等について専門的な知識又は相当期間の経験を有する者
派遣労働者の就業に係る事項に関する一定の決定、変更を行い得る権限を有する者
派遣先責任者の職務を的確に遂行することができる者
役割①|就業条件・関係法令の内容を関係者へ周知する
製造業務専門派遣先責任者は、労働者派遣法や労働者派遣契約の内容について、指揮命令者をはじめとする関係者へ周知する役割を担います。
派遣労働者に指示を出す現場担当者は、契約で定められた業務内容や就業条件を正しく把握しておく必要があります。認識が不十分だと、契約内容と異なる業務を任せるなど、不適切な運用につながる可能性があるためです。
そのため、関係者に必要な情報を共有し、契約や法令に沿って派遣労働者を受け入れられる体制を整えることが重要です。
役割②|派遣先管理台帳を適切に管理する
派遣先管理台帳の作成や記載、保存などが適切に行われるよう管理することも、製造業務専門派遣先責任者の役割です。
派遣先管理台帳には、派遣労働者ごとに就業日や始業・終業時刻、従事した業務の種類など、法律で定められた事項を記載します。また、一定の事項については派遣元への通知も必要です。
記載漏れや更新忘れを防ぎ、派遣労働者の就業状況を正確に把握できる状態にしておくことが求められます。
役割③|派遣労働者からの苦情に対応する
派遣労働者から寄せられる苦情への対応も、製造業務専門派遣先責任者が担う重要な役割です。
派遣先は、派遣労働者から苦情の申出を受けた場合、その内容を派遣元へ通知し、連携して迅速かつ適切に処理することが求められています。苦情の内容や対応状況を把握し、必要に応じて派遣元責任者と連絡・調整しながら、適切な対応を進めます。
役割④|安全衛生について派遣元と連絡・調整する
製造業務専門派遣先責任者は、安全衛生に関する事項について、派遣元責任者と連絡・調整する役割も担います。
製造現場では、機械設備を使用する作業など、安全面への配慮が必要な業務も少なくありません。派遣労働者が安全に就業できるよう、業務に伴う危険性や安全衛生に関する情報を派遣元と共有することが重要です。
派遣元と必要な情報を共有し、双方が連携して安全衛生を確保できる体制を整えます。
製造業務専門派遣先責任者を選定・配置する際の注意点

製造業務専門派遣先責任者を実際に配置する際は、いくつか押さえておきたい注意点があります。ここでは3つの注意点を紹介します。
注意点①|責任者の配置・不在時の対応を確認する
製造業務専門派遣先責任者は、製造業務に従事する派遣労働者の人数に応じて、必要な人数を配置する必要があります。51~100人なら1人以上、101~200人なら2人以上と、受け入れ人数によって必要な人数が変わります。
そのため、増産や新しい製造ラインの稼働などで派遣労働者を増やす場合は、選任基準を超えないか事前に確認しておきましょう。
また、選任した責任者が異動・退職・長期休職などで不在になる可能性もあります。責任者が欠けた場合でも必要な人数を確保できるよう、後任者の候補を決めておくなど、あらかじめ対応を検討しておくことが大切です。
注意点②|派遣する業務が「製造業務」に該当するか確認する
製造業務専門派遣先責任者の選任が必要か判断する際は、派遣労働者に任せる仕事が「製造業務」に該当するか確認しましょう。
製造業務には、物を溶融・鋳造・加工・組立て・洗浄・塗装する業務などが含まれます。そのため、単に「工場内で働いている」という理由だけで、すべての派遣労働者を製造業務の人数に含めるわけではありません。
派遣契約で定めた業務内容と実際の仕事内容を確認し、製造業務に該当する派遣労働者が何人いるのかを正確に把握することが重要です。判断が難しい場合は、管轄の労働局などへ確認しましょう。
注意点③|請負・BPOとの違いを理解し、偽装請負を防ぐ
製造業務で請負やBPOを活用する場合は、労働者派遣との違いを理解し、偽装請負にならないよう注意が必要です。
労働者派遣では、派遣先企業が派遣労働者へ直接、業務上の指示を出せます。一方、請負やBPOでは、受託会社が自社の労働者に指示を出すのが基本です。
契約上は請負やBPOであっても、発注企業が受託会社の労働者へ作業方法などを直接指示している場合、実態によっては偽装請負と判断される可能性があります。契約形態だけでなく、現場の指揮命令関係も確認しておきましょう。
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製造業務専門派遣先責任者に関するよくある質問

ここでは、製造業務専門派遣先責任者に関するよくある質問にお答えします。
質問①|製造業務専門派遣先責任者に資格は必要ですか?
製造業務専門派遣先責任者になるには、特定の国家資格は必要ありません。
ただし、労働関係法令に関する知識がある方や相当期間の経験がある方を選任することが望ましいとされています。こうした知識に不安がある場合は、「派遣先責任者講習」を活用し、必要な知識を身につけたうえで選任する方法もあります。
質問②|製造業務専門派遣先責任者を選任・変更した場合は届出が必要ですか?
製造業務専門派遣先責任者の選任・変更にあたって、労働局への届出そのものは義務付けられていません。
ただし、労働者派遣契約では派遣先責任者に関する事項を定める必要があるため、責任者を変更した場合は契約内容を確認しましょう。
質問③|製造業務専門派遣先責任者と派遣先責任者の兼任は可能ですか?
一定の条件のもとで、製造業務専門派遣先責任者のうち1名が、通常の派遣先責任者を兼任できる仕組みが設けられています。ただし、兼任が認められる条件には細かい規定があり、事業所の派遣労働者数によって実際に兼任が可能かどうかは異なります。
兼任を検討する際は、最新の制度内容を確認したうえで、必要に応じて社会保険労務士など専門家へ相談することをおすすめします。
まとめ

製造業務専門派遣先責任者は、一定人数を超える派遣スタッフを製造業務に受け入れる場合に選任が必要な責任者です。就業条件の周知や派遣先管理台帳の管理、苦情対応、安全衛生に関する派遣元との連絡・調整などを担います。
選任基準や役割を正しく理解し、派遣スタッフを適切に受け入れられる体制を整えましょう。
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